こんにちは、「こと。」です。
乗馬歴15年で、現在も乗馬クラブでインストラクターをしております。

馬ともっと仲良くなりたいよ〜

まずは、馬の気持ちを読みとってあげることが大切だよ^^
今回は馬が人に出すサインを解説するね!
馬と仲良くなるために最初に学ぶべき「こと。」は馬が出すサインを理解することです。
そこで当記事では、馬のサインを「耳」「目」「口元」「声」「しぐさ」の5種から解説します。
・馬が「耳」「目」「口元」「声」「しぐさ」で人に伝えたいこと
馬のサイン
言葉を持たない馬たちと心を通わせるには、馬たちが送るサインを理解することが何よりも重要です。
①耳

馬の耳は約4000メートル先の音も聞き分けることができると言われています。そのうえ10種もの筋肉で耳を前後左右に自由に動かせるため、立体的に音を捉えています。また、人間には聞こえない超音波に近い高い周波数の音も聞きとることができるそうです。
【外側に開きつつ前を向いている】
このときの馬は落ちついて、平穏な気持ちでいます。
周囲の音を自然に聞き取りながら、耳を前後左右に小さく動かしています。
【左右にふんわりと倒れている】
これは馬がさらにくつろいでのんびりとしているときに見られます。気持ちの良い手入れをしてもらったり、ちょうど良いところを掻いてもらったときに、このような耳の動きをすることが多いです。ただし、この耳の状態は体調が悪く脱力している場合にも見られることがあるため、耳だけでなく身体全体の様子もよく観察する必要があります。
【ピンと伸びている】
耳を立てた先に何か気になるものがあるようです。馬は見慣れないものや聞き慣れない音に緊張しやすいので、優しく声をかけてあげると安心します。
【両耳をせわしなくクルクルと動かしている】
馬は考え事をしているか、どう行動すべきか分からず不安を感じています。
気持ちが落ち着かないため、周囲の音や動きを敏感に拾い集め、状況を把握しようとしています。
【後ろに倒している】
驚きや不快のサイン。
あなたの指示や接触、装具の圧、周囲の刺激が「嫌・痛い・怖い」可能性があります。
耳を根元から頭に貼り付けるように倒した場合は、危険度が高め。
まずは圧を抜き、距離をとって落ち着かせ、原因を見直しましょう。
場合によっては威嚇行動として、噛みつきや後ろ足での蹴りが出ることもあります。
絶対に馬の真後ろには立たないよう注意してください。

耳の動きをみれば、馬の気持ちがすぐに分かるんだね!

そう!耳を見ると、馬の考えてることが少しわかってくるよ!
②目

馬の目の透き通った美しさは、個人的にとても魅力的に感じます。
馬と少し親しくなると、彼らが本当に表情豊かな生き物であることが実感できますよね。
ここでは、そんな馬の「目」に注目して、そのサインや意味を見ていきましょう。
【白目を見せる】
普段、馬の白目はほとんど見えません。
顔を少し傾けて白目を見せる場合は、緊張や不安のサインであることが多いです。
三白眼(さんぱくがん)の馬?
馬の中には、生まれつき白目が目立つ個体もいます。競走馬にも時々見られることがあります。これは「輪眼(りんがん)」と呼ばれます。
通常、馬の目は角膜(黒目)と強膜(白目)で構成されていますが、ほとんどの馬の強膜には色素があり、白目は目立ちません。
しかし輪眼の馬は、この色素が欠けているため白目が目立ち、三白眼のように見えることがあります。
人によっては「睨まれている」と感じることもありますが、決して怒っているわけではありません。輪眼の程度は馬によって異なり、それぞれ独特の表情を見せてくれます。
【つぶらな瞳】
おやつやマッサージをおねだりしたい時、あるいは人間に何かリクエストを伝えたい時、馬は表情を柔らかくし、目をうるっと可愛く見せます。
その可愛い瞳にほだされて、ついついおやつをあげてしまいますよね😅
この「つぶらな瞳」は、相手に対して自分に反抗の意思がないことを示すサインとして使われることもあります。
【目元に力を入れる】
不安を感じたり、指示に従いたくなかったり、緊張している時、馬は目元に力を入れ、眉を寄せるような仕草を見せます。
これは、人間でいう「目を三角にする」ような表情で、警戒心や不満、怒りの感情を表しているサインです。
馬がこうした目つきをしているときは、無理に行動を促すのではなく、まずは落ち着ける環境を整え、馬の気持ちを読み取ることが大切です。

わぁ、馬って表情豊かなんだね!

表情を理解してあげると、もっと仲良くなれるよ
③口元

目のサインを見たら、次は口元もチェック!小さな動きから、馬の気持ちがさらに分かってきます。
【ゆったりと緩んで下唇が長くなっている】
馬が落ち着いている時は、口元に力が抜けて、まるで微笑んでいるかのように見えます。
さらに眠くなったり、よりリラックスしていると、口元はどんどん緩み、思わず口をぽかんと開けてしまう馬もいます。
【口をもぐもぐ動かす】
馬が口の中でもぐもぐと噛む仕草は「チューイング」と呼ばれます。
これは、物音や人の動きに反応して、その出来事に納得し、リラックスした時に見られる行動です。
人から合図を受けた時に馬が口元をもぐもぐさせていたら、
「あなたの指示に従うよ!」というサインと考えて良いでしょう。
似た仕草を幼い仔馬がすることもあります。これは「スナッピング」と呼ばれ、仔馬が群れの大人の馬に対して
「自分は無害で服従しています」という意思を示すために、口をパクパクさせる行動です。
【口元に力が入っている】
じっとしている馬が口元に力を入れているときは、何か不快に感じていたり、反抗の意思を表している場合があります。
その様子が見られたら、原因を取り除けるよう注意してあげましょう。
一方で、運動中に馬が騎手の指示に集中しているときも、口を引き締めることがあります。
これは人間が集中しているときに口をぎゅっとするのと同じサインです。

同じ口元の動きでも、場面によって意味が変わるんだね!

そうそう。同じ仕草でも状況次第でサインが変わるから、よく観察することが大事だよ
④馬の声

馬は、人と同じように声のトーンや長さを使い分けて気持ちを伝えます。仲間を呼ぶとき、警戒するとき、甘えるとき──その場面によって声の高さや長さが変わり、表情とあわせて馬の感情を読み取るヒントになります。
長い声
「ヒヒーン」と遠くまで響く声。仲間を探したり、呼びかけたりするときによく聞かれます。特に放牧中や、馬房から仲間が見えなくなったときに発することが多いです。
高い声
甲高く短い「ヒヒッ」や「ピィー」という声。驚いたときや警戒したときに出やすく、もともとは他の馬への警告の意味を持っています。
低い声
餌をねだるときや、自分の存在を示すとき、親しい馬や人に甘えるときによく出ます。鼻を鳴らすような低い音は、落ち着いているサインです。一方、声帯を震わせずに鼻から強く息を吹き出す音は、警戒や緊急時に見られます。

声の高さや長さで、馬の気持ちがいろいろ分かるんだね!

そうだね。表情や仕草と合わせて観察すると、より理解できるよ!
➄仕草

馬の気持ちは、耳や目、口元だけでなく、体全体の仕草にも表れます。小さな動き一つひとつに注目することで、馬の本当の気持ちが分かるようになります。
前掻き
人間に何かしてほしいのにしてもらえないとき、注意を引くために前脚で地面を掻く行動です。
足元の見慣れないものを確認したり、不快さを解消しようとする場合もあります。
一点注意なのは、「疝痛(せんつう)」などで苦しんでいる時にも前掻きをすることがあること。体調に異常を感じたら、慎重に観察しましょう。
グルーミング
馬同士で互いの毛をなめたり掻き合ったりする行動です。
これは社会的なコミュニケーションで、信頼関係や安心感を示します。ストレスを減らす効果もあります。
あくびをする
馬は眠いときだけでなく、不安や緊張を和らげるためにもあくびをします。
この行動は犬など他の動物にも見られ、ストレスや退屈を解消し、気持ちを落ち着ける効果があると考えられています。
さく壁(グイッポ)
馬が上顎の前歯を飼い桶や柵に引っ掛け、頚に力を入れて空気を吸い込む行動を**サク壁(グイッポ)**といいます。
退屈やストレス、運動不足、要求などが原因で見られることが多いですが、経験上、運動不足よりも、隣の馬や前にいる馬の真似から始まることの方が多いと感じます。
この行動が習慣化すると、疝痛を発症するリスクが高いことも知られています。
矯正用の器具を使ったり、馬房を移すなどして対策を講じることが大切です。
熊壁(ゆうへき)
馬が前肢を開き、体幹を左右に揺らし続ける行動です。
この動きは肢勢(足の形)や蹄形(爪の形)の異常の原因となることがあります。
矯正のために専用の道具が使われることもあります。
また、経験上、犬などの小型家畜を馬と一緒に飼うことで、こうした悪癖が軽減される場合もあります。

へぇ、仕草には意味があるんだね!悪いクセは習慣になると馬にどんな影響があるの?

習慣化すると体や心に負担がかかることもあるから、早めに気づいて対応してあげることが
大事だよ!
まとめ
この記事では、馬の体の動きや仕草から読み取れる「言葉」についてお話しました。
馬は、ひとつの動作だけでなく、いくつかの動きを組み合わせながら、少しずつ相手に気持ちを伝えています。だから、ひとつのサインだけに注目するのではなく、身体全体をよく観察することが大切なんです。
馬と私たちは、考え方や感じ方が違う生き物です。ここで紹介した仕草が、必ずしも目の前の馬にそのままあてはまるとは限りません。
馬の言葉はとてもささやかで、気づかずに見逃してしまうこともあります。
だからこそ、馬の性質を学ぶのはもちろん大切ですが、それ以上に、自分の心や身体を使って、馬をじっくり観察し、少しずつ対話していくことが大事です。
トライ&エラーを重ねながら、少しずつ「馬の言葉」を感じ取れるようになりましょう。

なるほど、馬の言葉って本当に細かいんだね!

そう!焦らず、少しずつ観察して、馬との対話を楽しもうね✨️
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