馬との距離感が崩れた瞬間

この指導者コラムでは、日々の乗馬クラブ業務やレッスンの中で気づいたことを、私の視点で率直に書いていきます。
今回は、とある牝馬との関係で学んだことをお話しします。登場する牝馬は、ここでは S ちゃんとします。噛む・蹴るが常態化している、扱いの難しい馬です。

ある日、お客さんがレッスン前に無口をつけようとしたところ、S ちゃんはそのお客さんを噛みました。そこで私が代わって無口をつけようとしましたが、頭を上げて完全に拒否。
普段なら、馬の肩の横に寄り添えば「この人は大丈夫だ」と馬が受け入れてくれるのですが、この日はまったくつけさせてくれませんでした。
結局、別のスタッフが餌でつって無口をつけることに。

その日はトウラクも拒否され、終始大変でした。

翌日以降も S ちゃんは無口を嫌がり、まず引手を首にかけて、そこから少しずつ慣らしていく必要が出てきました。

理由は単純で、耳の後ろに怪我があったのに、私はその異変に気づかず、無理につけようとしてしまったこと。
そのせいで S ちゃんは「無口もトウラクも痛い」と記憶し、強い拒否反応を出すようになってしまいました。
肩の横に立てば何とかなるだろう、という自分の思い込みで馬を追い込んでしまったわけです。

とはいえ、そこで人が弱気になると話は別です。
餌でつったり、人がひるんだりすれば、馬は「怒れば人間は引く」と覚えます。そうなれば、その後も素直につけさせてはくれません。

今回の一件で、馬の様子を丁寧に見て、段階を踏んで進めることの重要さを改めて痛感しました。

みなさんも、馬の小さな変化に気づけるよう毎日よく観察し、一貫したルールで接し、馬が安心できる環境を作ることを大切にしてください。

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